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異文化との出会いVol,4(ゴムの時間)
2017 9 25

異文化との出会いVol,4(ゴムの時間)

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「ジャム・カレット(ゴムの時間)」は、<伸縮自在な時間>というわれわれ日本人は、

時間にルーズなインドネシア人の時間感覚を揶揄する時によく引き合いに出す言葉だ。

彼ら自身も、この言葉がインドネシア語である以上、自らファジーな時間感覚を自覚しているとも言える。
実際インドネシアで、結婚式や記念パーテイーの招待状を貰っても、定刻に出かけると出席者はまばら、まだ準備中のことも度々で、30分以上遅れて行かないとこちらの居る場所がないこともあった。
日本でのこの種の集まりでは、最初に主催者や主賓者の挨拶があるから、これに遅れることは礼に反することとされ、遅れる参会者は少ない。
官庁での会議や研修会などの集まりでも、なかなか定刻に始められない。
当日の会議の発表者ですら遅れてくることが平気な職場風土には、殆どの日本人はストレスを募らせる。
このため誰でも考えるのは、会議でお茶菓子や洒落たメモ帳などを配るインセンテイブ戦術がある。
しかし、これは最初のものめずらしい一時期だけしか効果はなく、今度のお土産は何だと事前に聞いてくる厚かましい者もでてきた。
そこで、プロジェクトでの会議のルールをカウンターパート達と作り上げ、会議を運営するコオーデイネイター役を定め、励行させる手助けにかなりの努力をはらってきた。
・事前の参加者確認
・出席依頼状の発信
・1日前の発表者への確認と必要機材の手配
・当日の会場アレンジ
・当日の定刻開会
結果は、以前より改善はされたが、根本的に彼らが意識を変え、変身することは無かった。
翻って、われわれ日本人の時間感覚はどうだろうか。
小学生の時から、学校に遅れることはいけないと叩き込まれ、教室の外に立たされる遅刻の罰が思い出される。社会人になっても満員の通勤電車に揺られて、出社に遅れない努力を重ねてきた。
しかし、席についた後お茶をゆっくり飲み、同僚と談笑してから仕事に入る。
仕事のやり方はチームプレイが多く常に複数の事項が同時進行することが多い。
会議では、開会は定刻でも、すぐに懸案事項の審議に入ることは少ない。途中来客や電話で中断され会議に集中し難い。
つまり、会議や授業の開始時間は厳密であっても、その後からの時間管理は必ずしも厳格ではなく、参加者の思考もテーマに集中し切れてはいない。
ドイツやアメリカの社会は、厳密な時間感覚で動いている。
面会時間は何時何分から何時何分までと設定される。
大学の授業も定刻開始で終了時間がきたら学生は勝手に退席しても当たり前という習慣である。
一方、ラテン諸国やアラブ圏では、マルチな時間の使い方が多く同時進行的な場面に多く遭遇する。
一人の店員が同時に複数のお客を相手にすることが多く、順番に一人ずつ処理する文化の人たちには不思議だろう。
面会の時間も厳密でないことが多く、待たされることも多い。
待たした側もそれほど罪悪感はなさそうだ。
「前に進んでいれば、ゆっくりが良い」というジャワの諺もある。
<得られる成果が同じなら急がないでのんびりやったらよい>という価値観で、「時は金なり」という西欧の時間意識とは対極にあると言えよう。
そういう価値観のインドネシア人でも、今では海外へ出かけるときは時間の掛からない飛行機を利用するし、しかも乗り遅れることは無い。
つまり、彼らもパンクチャルな時間感覚とファジーな時間感覚とを使い分けている。
本来、われわれ日本人は、インドネシアやアラブやラテンの人たちと同じ楽天的だったのかもしれない。
商談も、いきなり本題に入らず、時候の挨拶からゴルフの成果を自慢しあうという時間も大事だと考えてきた。
思想や感情をあいまいに表現し相手に礼を失しないという姿勢、ひととの摩擦を避け悠久な時間の流れに身を任す、という価値観が、近代化とともに「時は金なり」を無理に共存させているようだ。
インドネシアで、会議の定刻開催に血道をあげたことが、異文化理解に役立ったのかもしれない。

インドネシアで、会議の定刻開催に血道をあげたことが、

異文化理解に役立ったのかもしれない。

YSKC 取締役  室 井 常 正
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