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異文化との出会いVol,5(公私の区別)

「仕事にプライベートを持ち込んではいけない」

日本では、社会人になると最初に教わるルールである。

私用電話や備品の私的流用などの禁止ルールから始まり、その組織の目標達成のためには、私的感情を抑える行動規範や思考回路までも叩き込まれてきた。
<家庭を職場に持ち込まない><個人的な意見を言わない>のが大人の2大規範と思ってきた。
だから途上国へ赴任した当時、役人たちの行動には、どうも我慢が出来なかった。
仕事中に長々と私用電話を掛ける、子供を学校に送っていくため毎朝30分以上遅れてくる、会議の開始時間を無視して食事を続ける、仕事での外出先で長時間の私的買い物をする、など枚挙にいとまがない。
一番驚いたのは、タイの衛生研究所の研究棟の廊下で小さな子供たちが走り回っているのを見た時だった。
夏休みになって、子供を自宅で一人しておけないのだそうだ。研究所に託児施設はないので、細菌やバクテリアを扱う場所でも親の目の届くところ、との彼らの判断であった。
それから15年以上過ぎた。
日本経済は発展期を過ぎ長い停滞期に入っている。
モノが売れない。
商品やサービスを改善しても効果がでない。
商品が需要を創造するような、企業が社会を引っ張る時代ではなくなった。
企業と生活者との価値観がずれてきているようだ。
商品の機能的価値よりデザインやイメージなどの情緒的価値が重視され、そのため生活者の感性をいかに捉えるかが課題だそうだ。
当然、従来の企業の価値観や行動規範は見直されるべきであろう。
最近、日本の企業で「家族の職場参観」プログラムを実施しているそうだ。
夏休みに社員の家族に実際の業務を体験してもらう。
職場見学だけではなく、業務内容の授業や制服を着ての配達体験を通じ、親子のコミュニケーションを促し、子供の仕事観の育成に効果が認められるそうだ。
家族とのコミュニケーションは社員のモチベーションに繋がる。また、いまの子供たちは何に興味をむけているか、主婦の価値観や関心度が汲み取れる。
そこからアイデアやビジネスチャンスが生まれることが期待できる。
タイの研究所で、もうひとつビックリしたのは給食制度であった。これは、専用の職員食堂ではなく、研究室の狭い湯沸し場で、当番が毎日ご飯を炊いて2-3品のオカズをつくり14-5人が和気藹々と昼食を共にするのであった。
夏休みには子供たちも加わって、なんともほほえましい昼休みだった。
この職場は、女性研究員が多かったということもあり、料理に慣れている、外食より安くて美味しいもの強い願望、などの事情は理解できる。
でも、黴菌や危険試薬のそばで調理して食べるという違和感、また厳しく言えば、その日の料理当番は勤務時間を犠牲にするわけだ。
この頃、居酒屋などでの社員同士の「飲みニケーション」を見かける。
社員旅行や運動会も復活してきているそうだ。
効率化や個人主義化で失われたかつての職場風土も見直されてきているようだ。
IT化が進んで情報量が著しく増加してきたものの、本当の情報、裏に隠された情報の価値が求められ、フェイス・ツー・フェイスの重要性が浮上したからだろう。
時代の変化は、価値観の変化を促す。
15年前にタイで感じた違和感は、いまでは大分薄められた。
彼らの<公私混同>の裏にある人間としての暖かさが、何となく理解できる。

<公私分離>が組織運営の決め手ではないことがやっと分かってきた。

あの時、もう少し軟らかい視点を持っていたら、もう少し良い仕事が出来たかもしれない。

YSKC 取締役  室 井 常 正
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2017 9 25

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