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異文化との出会いVol,2(乾杯の作法)
2017 9 25

異文化との出会いVol,2(乾杯の作法)

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宴席では、自分のペースで酒を飲んではいけない、かならずその席の全員が唱和した乾杯で酒に口を付ける、しかもその杯をみんなが同時に飲み干すのが決まりと、教えられた。

ある日、宴会に招かれテーブルを見ると、各人に大・中・小の硝子の酒器がセットされている。

大型は長い足のゴブレット、中型は小ぶりのワイングラス、小型はウイスキーのストレートグラスのようだ。
こっそり隣の通訳氏に聴くと、それぞれは「ピー酒(ビール)、黄酒(紹興酒)、白酒(マオタイ)用」と教えられ、安心して席に着いた。
開宴で、先方のリーダーが立ち上がり歓迎の言葉を長々と述べ、型どおり乾杯の提案がなされた。「さあ、杯を取り上げて」と、全員が私を促している様子。 そこで、一番大きなゴブレットを取り上げ、後ろに控えている給仕人のサービスに支障がないよう自分の身体を少し開いてお酌を待った。 すると、みんなの表情に僅かな影が宿ったような雰囲気はあったが、その大振りのゴブレットには白酒がなみなみと満たされてしまった。
「あれー、ビールじゃないの」と思ったが時すでに遅く、みんなは「乾杯、乾杯、干杯、干杯」の大合唱となり、「この乾杯が済まなきゃ宴会は始められない」などと茶化されて、まるで、学生時代のコンパの一気飲みを迫られるような状況になってしまった。
やむなくこの酒精40度を超えるホットな液体約150ccを、胃の腑へ落とし込む羽目になってしまった。
白人の多い国際機関などのパーテイでは、特別の慶事が無いかぎり乾杯の習慣は無い。 最初の一杯は、各人が勝手な酒を注文する。 アメリカ人はジン・トニックやカンパリ・ソーダのサワー系、英国人はシェリーやポートの酒精強化ワインなど国別の好みの傾向はあるが、一般にビールをスターターに飲む人の割合は低い。 さらに、食事中の赤・白ワイン、食後のブランデーからリキュールまで、消費する酒類の数はさらに増えてくる。 つまり、ここでの飲酒文化は、食前、食事中、食後のそれぞれのタイミングで、それぞれが好きな種類を好きな量だけ摂取するという、完全な個人主義が貫かれている。
翻って日本の飲酒慣習といえば、<とりあえずのビール>で嗽をし、和風な料理には日本酒をお供にし、食後バーに席を変えてウイスキーの水割りをだらだらと続ける、というパターンが多かった。 この酒の少品種大量消費型は、きわめて歪な姿だろう。 和洋中から東南アジアのエスニックまで、世界一多彩な食文化を取り入れている日本にあって、酒だけが硬直的な理由が分からない。 最近は、ワインや焼酎など選択の幅は広がったといっても、食前酒から食後酒まで酒のフルコースの機会は、めったに現れない。 「チャンポン飲みは悪酔いの素」という神話に、いまだに惑わされているのだろうか。

最近、中国も変わってきたようだ。

「随意(スイイー)」という便法が登場してきているそうだ。

宴会の主催者が最初にそれを宣言すれば、下戸の参加者の乾杯は、

ちょっと口を付けた格好をするだけで免責されるという。

飲酒の集団主義から個人主義の流れは、国際的なのかもしれない。

YSKC 取締役  室 井 常 正
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